酸素談義(5)
千鶴:あら晴子、平日の昼間からこんなところまで・・
晴子:なんかな、疲れてもうて・・何日か世話なるわ。
千鶴:ええ、どうぞゆっくりしていって。
あ、私はお客さんの対応しなきゃいけないから・・
晴子:あ、お構いなくや、
ウチは露天風呂ですっかりすっきりリフレッシュしてるし。
千鶴:それじゃ、また後で・・
晴子:ウチのあほちんと居候の話もじっくり聞かせてやるさかい、
覚悟しときぃ
千鶴:うふふ・・相変わらずね。晴子は。
晴子:ふー・・・ええ湯や・・心が洗われる・・
観鈴:うん、すっかりすっきりリフレッシュ、にははっ
往人:温泉なんて生まれて初めてだぞ。
観鈴:わっ、熱いからって水で薄めちゃ駄目っ
往人:俺はぬるま湯が好きなんだ。
観鈴:温泉じゃなくなる・・
晴子:ってなんであんたら居るんねん!?
観鈴:商店街の福引であたったの。にははっ
晴子:・・・で、なんで居候が入っとんや?
往人:温泉初心者なんだ。
晴子:知らん、出て行き。
観鈴:あのねお母さん、ここの温泉、
夕方から9時くらいまで混浴なんだって。
晴子:・・・・
往人:ほれるなよ。
晴子:ほれるかいっ!
その後〜
観鈴:あ、ちーちゃんさんだ。
往人:よぉちーちゃん、また会ったな。
千鶴:あらあら・・さっきぶりですね。
晴子:ちーちゃんて・・なんで二人が知ってるんや・・
千鶴:あら晴子、二人とはお知り合いなの?
晴子:娘と居候や・・
千鶴:さっき言っていたお客さんよ。でもすごい偶然・・
晴子:全くや・・でもこんな偶然なら重なって欲しゅうないわ・・
千鶴:晴子、出会いも無いのに子供が・・
晴子:出会いが無いは余計や、
んな事言ったら千鶴、あんたはどうなんや?
千鶴:私は・・・ぽっ
晴子:な、なんやそのリアクションは・・・・
往人:そういや俺が世話になってた時に直々近くに居た兄貴、
あの人どうなった?
晴子:世話・・・?
往人:ああ、一人旅を始めてからすぐに金欠に陥ってな、
少しの間厄介になったんだ。
千鶴:耕一さんでしたら今は・・・ぽっ
晴子:だ、誰や耕一て・・
往人:ちーちゃんのふぃあんせだ
千鶴:今は・・・もう旦那様・・・
往人:へー、結婚したのか。
晴子:そんな・・・
「何時までも独身貴族」がウチ等の目標だったやんか!?
千鶴:そんな目標立てた覚えは・・
観鈴:女同士の友情ってもろいんだよね。にははっ。
晴子:こんな所に来てまで自分を思い知らされるなんて・・
あんまりやぁぁぁっ
だっ
たったったったっ・・・
千鶴:あ・・晴子っ
往人:あーあ
観鈴:あれ?私何か悪い事言ったかな・・
晴子:はぁ・・・はぁ・・・
こうなったら・・自棄食いやっ
ここんとこの裏に生えてる食い物全部食うたる!
ざっ
ざっ
ざっ
ざっ
晴子:を、美味そうなキノコやんか、
ちょっと毒々しい色してるのが返ってええ感じや♪
ぱくっ
晴子:うーん・・・外見に見合った味が・・ってこれ毒やんかっ!!
ごくん
晴子:・・・・飲みこんでもうた・・・(汗
晴子:あれ・・目の前がふらふらする・・
やばいんかな・・そろそろなんかな・・
最近は観鈴も発作無ぅて平和やったのに・・
こんな最後なんて・・情け無さ過ぎや・・
あほちんはウチやったか・・・
ばた
晴子:あーもうなんでもええ、
最後に観鈴ちゃんの顔みさせてーな・・
神さん、それで命の片つけたる。
晴子:・・・・・それも無理なんか・・は・・・ぅ・・・
千鶴:晴子っ!晴子、ちょっと!
観鈴:お母さんっ、目を開けてっ、お母さんっ!!
往人:そういう時は身を隠すんだっ!
観鈴:往人さん、一人だけ変なこと言ってる・・・
往人:それは良いとして、晴子を起こすにはこれだろ。
だんっ
観鈴:『鬼殺し』って・・
千鶴:・・・・・(がたがたぷるぷる)
往人:1 体をゆすりながら名前を呼ぶ
観鈴:さっきからやってる・・
往人:2 鼻に注ぎ口をあてがう
観鈴:う、うん、やってみる・・
往人:3 一気に流し込む
観鈴:ごーっ
晴子:やめてっ!!
往人:ちっ、もう少しだったのに・・
晴子:全く・・何するんですか貴方達は・・
往人:へっ?
千鶴:晴子・・・?
晴子:あら・・・?三人もそろって、一体何かあったのですか?
観鈴:お母さん・・何かが色々と変・・
晴子:まぁっ、観鈴ちゃん、お母さんのどこが変なの?
教えて頂戴!すぐに直すからっ、
観鈴:が、がお・・
ぽかっ
観鈴:痛い・・
晴子:国崎さんっ、ウチの観鈴になんて事するんですかっ!
往人:お前がやれって言ったんだろ!
晴子:そのような事は一切記憶にございません。
往人:うわっ・・(汗)
千鶴:これは・・・
食べると性格が反転するキノコを食べてしまったようですね。
往人:そんなものあったのか・・
観鈴:こんなお母さん・・嫌じゃないかも・・
往人:いや、確かに今の晴子はまともだけどさ・・
千鶴:反転したのにまともと言われるとは・・
往人:まぁ、晴子だしな。
千鶴:ともかく、一日の間はこのままです。
観鈴:命が危ないとかは・・?
千鶴:いえ、生死には直接関係無いです。
観鈴:良かった・・
晴子:観鈴ちゃん、私を心配してくれるのね、お母さん嬉しいわっ
往人:・・・母親らしい晴子を初めて見た気が・・
千鶴:一体今までどんな生活をしてたんですか晴子は・・・
往人:自堕落で向上心のまるで無いいわば駄目な奴っぽい生活。
千鶴:・・・・・
往人:ぐぅの音も出ないだろ?
千鶴:はい。
往人:それで、一日待つ以外に手は無いのか?
観鈴:でも往人さん、今のままでもお母さん、問題ないと思う・・
往人:いや、確かに害は無いけどな、不気味だと思わないか?
少なくとも俺はそう思う。だからできれば元に戻って欲しい。
千鶴:思いっきり当身をすれば・・・あるいは。
往人:という訳で観鈴、愛の捨て身タックル、ごー
観鈴:な、なんで私かな・・
往人:坊げふん・・娘だからさ。
観鈴:わ、すごい理屈・・
往人:行かないと来週から夕食が紅しょうがになるぞ。
観鈴:そうなったら、往人さんも同じ・・
往人:しょうがが好きなんだ。
奪ってでも欲しい位に好きなんだ。
千鶴:そうだったんですか?それなら今晩のメニューは紅・・
往人:すまん嘘だ。
観鈴:うーん・・・でも、お母さんこのままっていうのも・・
往人:あっ、未確認飛行物体が明後日の方向に!
観鈴:え?
往人:観鈴みさーいるっ
観鈴:わっ、わっ・・
がっつーん!!!
晴子:・・・・
ばたっ
往人:ふっ、作戦成功。
千鶴:国崎さん、未確認な飛行物体はどこですか?
往人:あんたまでかかるなよ・・
晴子:うーん・・あや・・ウチは・・?
往人:を、気がついた。
晴子:あー、居候かいな、なんや頭痛いわ・・
観鈴はどした?
往人:観鈴ならそこで寝転んでるぞ。
晴子:何かあったんか?
往人:いや、何も。
晴子:そか、ほーれーみーすずー、はよ起きんと、風邪ひくで。
観鈴:う、うーん・・・
往人:お休み。
観鈴:起きたばっかり・・
往人:ばれたか。
千鶴:大丈夫ですか?
観鈴:あれ・・私・・
晴子:観鈴、はよ旅館戻って風呂入り直そや、
今なら女限定うっはうは風呂やで。
千鶴:謎な名前をつけないで・・
観鈴:おばさん、誰?
晴子:がーん(おばさんおばさんおばさんおばおばお・・・
往人:今度は観鈴が記憶喪失か。
観鈴:ここは誰・・私はどこ・・・
晴子:おばさん・・・おば・・
千鶴:晴子、気をしっかり持って・・
晴子:おば・・・おば・・
(続く)
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